心地よい住まいのつくりかた、音楽にたとえると。
自然にカラダが動き出すような、心地よいリズム。生命が躍動するようなビート。
建築にたとえると、それは規則正しい、建物の骨組みが担っています。
いいバンドには、必ず腕利きのドラマーとベーシストがいて、彼らの叩き出す
リズムのコンビネーションが、心地よい音楽の屋台骨を支えています。
構造計算によって裏打ちされた安全性と、無理や無駄のない大きさで繰り返す、
設計による経済性。そのふたつが生み出す活き活きとした構造のリズムは、今日も
目に見えない安心として住まいの心地よさを支えています。
ひとつひとつの音が連なって、豊かに流れるメロディ。つい口ずさむ、記憶と一緒に在る、美しいメロディ。その旋律を奏でるのは、ひとつひとつ選ばれた自然素材の表情です。日本人の感覚にしっくり合う、手触り、足裏の感触があります。
私たちK設計室が好んで使うのは、日本の豊かな木材や左官仕上げ。
やさしい柔らかな風合いを持つ、和紙もよい相性で使います。
限られた予算の中、コストにメリハリをつけ、出来る限り素材の良さのまま活かす。
適材適所、個性をもった豊かな仕上材は、丁寧に譜面の上に置かれた♪音符♪
のように、住まいのメロディを奏でます。
均整のとれたしなやかなリズム、素材の織り成す表情豊かなメロディ、そのふたつが調和して、肌理細やかなハーモニーが生まれます。
生成りのまま、飾り気のないシンプルな空間に、刻々と移り変わる光りが射し、
豊かに流れ出す時間と空間のハーモニー。
ほどよい大きさの室内には、床、壁、天井、窓、それぞれがバランスよくあることで、居心地という調和が響きはじめます。自然からいただいた素材の生命を無駄にせず、丁寧に使って作ること。そうすることで、人と住まいがお互いに響きあって、暮らしのハーモニーが生まれます。家族の奏でるアンサンブルと住まいの空間のハーモニー、末永く響き合いますように。